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蛮を送り出すことができた。
それだけでもう、十分だと思っていた。
MAKUBEXを送り出し、蛮を見つけた時、本当にどうしようか困ってしまった。
とりあえず、蛮の肉体も精神もこの中には存在した。だが、彼を縛っている魔法が頑丈な鎖となって、蛮の体と頭の行動をすべて停止させていた。すぐにその魔法(この中ではすべてのモノがデータ化する)を解析し、解き方を解明する。
「…サウスブロックの人達の記憶全部足しても…難しいかな?」
銀次は、蛮を最後にまわし、すべての人々の奪還と…初めて「奪う」ことをした。
記憶というパワーは、蛮の体の鎖をすべて破壊し、そして頭の殆どの鎖を破壊した。
だが、殆どは殆ど。100パーセントではない。
「蛮ちゃん…そうだよね。」
お父さんの記憶、お母さんの記憶、邪馬人さんの記憶…いっぱいいっぱいあるもんね。大事な、大事な記憶が。
俺に関する記憶がなくったって、生きていけるよね?
銀次は微笑むと、鎖の形状を変え、細いのにすると自分の記憶を占める場所にぐるりと巻き付けた。今は離すことはできない。時間がもしかしたら鎖を綻ばすことができるかもしれない。
死ぬ間際かもしれないけど。
「いいんだよ、蛮ちゃん。俺は忘れないから。」
ぽろり、と涙が落ちる。
「蛮ちゃんは、忘れて。」
卑弥呼ちゃんたちと、新しい道を歩いていって。光る道を。
「蛮ちゃん。ありがとう。元気でね。」
涙があふれる。銀次は出口を操作し、停めておいたてんとう虫の中に蛮を送り出した。
終わった。
混沌は消え、銀次は作っていた擬似的な子宮も消した。いつもの懐かしい無限城の一室に戻る。
ばさ。
「へ?」
すーかーすーかーとする下半身。見るとズボンはおろか、下着までくるぶしのあたりまで落ちている。
「なんで?」
屈もうとした時、胸に違和感。むにゅ。
「え?」
おそるおそる…考えたくなくても考えてしまった、それ。
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
見てしまった。見てしまいました。
自分の下半身についてたのが…ない。で、ないはずの所に…ある。
さっそく問題発生です。どうすればいいでしょう?
創世の王は、初めてベソをかいた。