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上も下も右も左もない。
今や無限城の中は混沌のスープと化していた。
その中、二区画のみ「存在」する場所があった。
「銀次」のいる場所と。
「波児たち」のいる場所。
「波児、ヘヴンさん、卑弥呼ちゃん、マリーアさん、柾。」
いつもの口調で銀次は話す。不思議なくらい落ち着いた口調。全てを理解した賢者の口調。
「銀次…」
そのいつもと変わらない不思議な姿に波児が口を開いたが、卑弥呼がそれを遮る。
「天野!蛮はどうなったの?」
銀次はにっこりと笑った。いつもの顔。人を安心させる、笑顔。
「蛮ちゃんはこの中にいる限りは無事だよ。…卑弥呼ちゃん、安心して。…みんな。」
五人を見渡し、銀次は言った。
「みんな、ありがとう。これから、全てを奪還するから。」
HONKY TONKとか、みんなのうちで待ってて。送るから。
みなぎる決意。天野銀次の顔。
「いつまで待てばいいんだ?」
柾の言葉に銀次は横に首を振る。
「わからない。でも、待ってて。」
どんな姿になっても、無限城にいた人と、蛮ちゃんはみんなのもとに戻すから。と。
「王よ。全ての舵はあなたに手渡されました。お導き下さい。」
マリーアは深々とお辞儀をした。
「うん。わかった。…それじゃあ。」
ばいばい。
瞬間、五人は見慣れた場所にいた。
「あ、れ?」
HONKY TONKの前。…何故か行列が出来ている……。
そんな中、カウベルが鳴った。
「おかえりなさい!マスター!」
「おかえりなさいです!お疲れ様です!」
夏実とレナが涙ぐみながらでてくる。
五人は顔を見合わせ、それじゃ、と姿を消す。
波児は店の中へ。
マリーアと卑弥呼は自分の家へ。
ヘヴンと柾は…とりあえずヘヴン宅…へ?
五人の道は分かたれた。
だが、それぞれ考えていることは一緒。
彼は、銀次はどうするのか?
流石のよろず屋でもどうしようも無い、と波児は首を振った。…ついでにこの来客数にありえない、と。