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全ての話が終わってからのパラレル
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MAKUBEXたちがいるマンション(すごいんだよー!マンションのくせして2階もあるの!でっかくて広いんだよ!)にたどり着くころには、もう夜になってて…俺は……その………
「やっぱり銀次さんには軽くウェーブかけたのが似合いましたね。」
「そうね。服にも映えてて…やっぱりいいわぁ。」
カヅッちゃんと朔羅……何か俺の知らない世界で盛り上がっています。
「姉者。赤飯。」
「あ、そうそう。おせきはん。」
さっそく晩ご飯みたい。うーん。入るかな?お腹がなんとなく変だし……
「大丈夫ですよ。それは病気じゃないですから。」
そうですか。はい。
「晩ご飯、なに?」
それを言うと、十兵衛を除く全員が笑いました。

ようやくいつもの銀次さんだって。

まぁ、確かに女の子になっちゃったけど。俺は俺だよ?
そのことを話したら、MAKUBEXが「そうでしたそうでした。」と笑いながら謝ってきた。ぷんぷん。

でも、お赤飯とお吸い物と、鯛のおかしらつきはとってもおいしかったです。MAKUBEXを除いて、全員でビールを飲みました。…なんか凄く久しぶり。………「あの人」と飲んだのが最後だから。
そう、「あの人」はもう呼べない。あの人にはあの人の人生を送ってもらわなければならないから。
俺もちゃんと独り立ちして、仕事バリバリしていくんだから…

…の前に。

「俺、今日からどうすればいいの?」
車もないし、ホンキートンク……にはまだちょっと顔は出せないよね。暖かくはなってきたから、野宿かなぁ。
「銀次さん。」
MAKUBEXが俺を見上げて話しかけてくるまで、ずーっとうんうん考えてました。
「な、なに?MAKUBEX。」
「ここのマンションに、銀次さんの部屋はもう用意してありますよ。家賃は…ちゃんと考えてありますから、安心して下さい。」
MAKUBEX、色々と俺が困ってるだろうということが分かってたんだ……。

「うん。あんがと。」

しばらくの間だけ……

「お世話になります。」

ぺこりとおじぎをした。
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「やっぱり銀次さんにはワンピース。」
「んあ?なんでそこでマンガ?」
「いや、こっちは講談社ですから。音羽出版ですから。」
「マドカちゃんって出版会社もやってたんだー。すごいねー。」
「いや、お前ら、どこからか会話がかみ合ってないぞ?」
「やっぱりマイクロミニもね☆」
「スパッツもかかせませんね。なら。」

士度と俺は、顔を見合わせようとして…士度が真っ赤になってそっぽ向いた。

いつの間にか柾とヘブンさんも合流して…すごいことになっている。 
どうすごいかっていうのは…うーんと。ごめん。俺にも良く説明できないや。
今、もう何件目か分からないけど、柾と士度は完全に荷物持ちに徹している。…両腕に荷物。両肩にも荷物。荷物荷物荷物。もう何が入っているかわからないけど、とりあえず、荷物。

一度アレの交換とお茶以外は、荷物を増やしていたような気がする…。

待ち合わせた笑師の車(柾の車らしい…)に全部入れて…入りきらなかった。

よって。

「うわぁ、行きも帰りもタクシーなんて初めて!」

…ジミーに「ビンボーだったんだ(ですね)」という視線の集中砲火をあびた。

だってビンボーだったんだもん。
 俺は今、すごーくすごーくびっくりしてます。MAKUBEXがいなかったら、きっと怖くて泣いていたでしょう。
 MAKUBEXは朔羅の頼みで、ちっさなパソコンで何かしてました。「できたよ、朔羅。」と言うと、朔羅はいきなり新宿のすっごく有名なホテルの名前をタクシーの運転手さんに言いました。わっわっわっ!
「ま…MAKUBEX………」
 な、なんだか、朔羅とカヅッちゃん、フシギな目で俺を見てるんですが………
「銀次さん。」
 まじまじと俺の目を見ながら、きっぱりとMAKUBEXは言ってくれた。
「諦めて下さい。」

 ……うー、その言葉で思い出した。おなかいたい………

 おなかをさすると、朔羅が一錠、薬をくれた。
「その腹痛に効く薬ですよ。」と言ったんだけど……薬ってさ、あまり飲んだことないんだよね。
「大丈夫ですよ。十兵衛の姉ですから。」

 あ、そっかー。十兵衛のお姉さんだもんね、朔羅。色々できるんだよね。…たまに踏む地雷のような料理以外にも。

 俺はカヅッちゃんからお水をもらって……あ、飲み干しちゃった。喉乾いてたみたい。ごめんね、カヅッちゃん。薬を飲んだ。一錠でも、いっぱいの水がないと飲めないんだよー。

 って言っている間に、どでかいホテルへ到着。支払いはカヅッちゃんが。…うわ、サイフの中に「ゆきちさん」がいっぱいいる!うようよいる!すごいなぁ。
 俺はとりあえず、MAKUBEXの隣でカヅッちゃんと朔羅が受け付けで何かしているのを見てた。その間、MAKUBEXはパソコンをカタカタ動かしている。………あれ?
「MAKUBEX……そこ、間違ってる。」
 指さした場所、何かおかしいよ?
 MAKUBEXもびっくりしたみたいで俺を見ると、「まさか…」って顔になった。うーん。女の子の体になってから、この表情も慣れてきたなぁ。
「あ、ありがとうございます。」
 MAKUBEXは慌ててそこを直すと、またカタカタやりだす。何気なく見ていたら、二人がやってきた。 
 「昼間のホテルは格安で借りれますから。」とカヅッちゃん。朔羅も頷く。…無限城にずっといたんじゃないの?朔羅。
「これで買い物ができます。」

 へ?

 エレベーターに移動しながら、朔羅は言い切った。
「MAKUBEXがカードを持ってますから大丈夫です。」
「お、俺、この格好でも…」

「推定Fカップの女の子がノーブラで歩くということは、ヘブンさんくらいに口が達者じゃないとできませんよ?」

 ……最初のほうは良く分からないけど、すごく何かが必要なのかは分かりました。カヅッちゃん。

「下着類は朔羅に任せるよ。僕は美容院の予約と服を見る。」
「あ、服は私も見ます。」
「僕がリストアップして道順検索するから、それにあわせて。」

 ………VOLTSでもこんなに結束力あったっけ?新生VOLTSでも?

 ふとお腹を見ると、痛みはなくなっていた。
 朔羅の薬、やっぱりすごいなー。

 ごめんなさい。ちょっとゲンジツトウヒしました。

 何が起きているのか、俺が一番良くわかっていないようです。
もしもし!花月か?ああ、柾だ。こっちに集まった奴らが集結・・・いや、士度だけ家へ戻っている。赤飯は間に合わないからいい所に注文したらしい。ここにいる面子は全員手のこんだ料理は作れんからな。・・・で、銀次は?
ああ、今タクシーに?そんなに消耗しているのか?・・・違うのか? 糸の花月にしては随分とあやふやな返答を。十兵衛に風呂を沸かせ・・・ああ、わかった。

で、お前らは?


買い物して帰る、と。銀次のだな?わかった。いつでも連絡がとれるようにしてくれ。ああ。また。
 もしもし!朔羅ですか?銀次さんは?……無事ですか。そうですか。良かった。


 ………あの?後ろでMAKUBEXが何か大騒ぎしているようですが?


 はぁ。来れば分かる。…迎えに来て欲しい、と。はい。僕と士度と十兵衛……え?僕だけですか?
 士度はともかく、十兵衛は鼻血吹くか気絶するから無理、と。はぁ。
 分かりました。えっと…MAKUBEXの発信器は………あ、分かりました。この位置だと、サウスブロックのはずれですね?はい。ここでしたら…1時間かからずに迎えに行けると思います。それまで耐えられますか?はぁ。銀次さんもいることだし大丈夫だと……ああ、あまり力を使わせたくない。ええ。分かります。
 朔羅とMAKUBEXだけで大丈夫ですか?まぁ、MAKUBEXはともかく、朔羅がいるのであれば心配してませんが。できる限り急いで行きますね。それでは待ってて下さい。

 …え?あと赤飯の準備をしておけ?

 はぁ。……MAKUBEX、騒がしいですけど。…来れば分かる。わかりました。とりあえず向かいます。待ってて下さい。それでは。


「銀次が見つかったか?」
 ああ、士度。そうみたいだ。何でか分からないけど、MAKUBEXが混乱しているみたいだ。まぁ、彼は銀次さん絡み以外で混乱することはないから…
「いや、一度ある。朔羅のあの料理の時。」
 …そうだったね、柾。あの料理はすごかった。四天王全滅だったもんね。銀次さんには生物兵器も通用しないんだと思ったよ。あの時だけは。
「さっさと行くぞ、花月。」
 あ、それなんだけど、朔羅から、僕だけ迎えに来てほしい、と。
「どういうことだ?花月?」
 僕も良く分からないんだけど…士度はともかく、十兵衛が行くと気絶するか鼻血を吹くような事態になっているらしい…柾はこのまま…あ。
「あ?」
 柾、士度、そして十兵衛。…赤飯の作り方は知ってる?
「俺が知ってると思うか?」
「柾に同じ。」
「もち米にささげ豆か?姉者が用意していた所は見たことがある。」
 十兵衛。すぐにそれを購入しておいて。
「赤飯を作るのか?」
 ………君たちに赤飯を作れというのは無理な話だね。士度、マドカさんに頼んで作り方を教えてもらうか…どうにかしてもらって。
「Honky Tonkにヘブンが連絡を待っているが…」
 うーん。柾。とりあえず銀次さんたちがここに着いたら考えよう。君たちはとりあえず、赤飯の準備を。
 それじゃあ、行ってきます。ええ。必ず3人とも無傷で連れて帰りますよ。

 必ず、ね。
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